東北大学大学院医学系研究科レドックス分子医学分野
硫黄は生命に必須の元素であり、微生物では硫黄がエネルギー代謝や自然界の硫黄循環に重要な役割を果たすことが知られています。しかし、哺乳類が元素硫黄を体内で作り、利用しているかどうかは不明でした。今回、赤池教授らの研究グループは、ドイツのMax
Planck研究所、島津製作所と共同で、ナノ分子カプセルを用いた質量分析とラマン顕微鏡解析により、哺乳類の細胞や組織の中に環状八硫黄(S8)が存在することを明らかにしました。S8は、特に脂質を蓄える脂肪滴に多く蓄積していました。さらに、ヒトの乳がん組織ではS8が高濃度に蓄積していること、乳がん患者の呼気中にも超硫黄分子(HSSnH)が増えていることを見出しました。また、変形性膝関節症モデルマウスでは、可溶化したS8を関節内に投与することで関節組織の脂質の酸化が低下しました。本成果は、哺乳類がS8を体内でつくり、脂質に富む細胞内の場所に蓄えることで、細胞や組織を酸化ストレスから守っている可能性を示すものです。今後、S8を中心とした超硫黄分子の代謝を制御することで、脂質過酸化やフェロトーシスが関与するがん、変形性関節症、炎症性疾患、老化関連疾患などの予防・治療法開発への応用が期待されます。
本研究成果は、2026年9月24日付けで国際学術誌Scienceに掲載されました。
詳細は、下記URLをご参照ください。
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/09/press20260925-02-octasulfur.html
掲載誌:Science (2026) https://www.science.org/toc/science/393/6818
DOI:10.1126/science.aec5473
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