東北大学大学院医学系研究科レドックス分子医学分野
生命は酸素を利用することで高効率なエネルギー代謝を獲得し、複雑な生命活動を可能にしてきました。しかしその一方で、酸素の利用は必然的に活性酸素(reactive
oxygen species: ROS)の生成を伴います。活性酸素は生体分子を酸化し細胞障害を引き起こす一方、細胞機能を制御する重要なシグナル分子としても機能することが明らかになっています[新学術領域研究「活性酸素のシグナル伝達機能」(2008-2013年度),「酸素を基軸とする生命の新たな統合的理解(酸素生物学)」(2014-2018年度)]。生体内では、活性酸素の産生と消去のバランスが精密に制御されており、この酸化還元バランス(レドックスバランス)の破綻は酸化ストレスとして多くの疾患の発症・進展に関与しています。
近年、レドックス制御は活性酸素のみならず、活性窒素種(reactive nitrogen species: RNS)や活性硫黄種(reactive sulfur species: RSS)を含む広い分子ネットワークとして理解されるようになってきました。特に近年、システインパースルフィドやポリスルフィドなどの「超硫黄分子(supersulfides)」が生体内に広く存在し、強い求核性と抗酸化能を有する生理活性分子として重要な役割を果たすことが明らかになりつつあります(Ida et al. PNAS, 2014; Akaike et al. Nat Commun, 2017; Matsunaga et al. Nat Commun, 2023)。本研究分野では、これら超硫黄分子を中心としたレドックス制御機構を分子レベルで解明し、新しい生命科学および医学の基盤となる研究を推進しています[学術変革領域研究(A)「新興硫黄生物学が拓く生命原理変革(硫黄生物学)」(2021-2025年度),国際先導研究「レドックス超分子の生命機能解明に向けたグローバルな研究先導」(2023-2029年度),基盤研究(S)「超硫黄分子によるエネルギー代謝と酸化ストレスシグナル機能の解明」(2024-2028年度)]。 レドックス制御は生命機能の根幹を支える基本原理の一つであり、その破綻は多くの疾患の発症に関与します。超硫黄分子は、これまで十分に理解されてこなかった新しい生理活性分子群として、レドックス生物学に新たな視点をもたらしています。本研究分野では、超硫黄分子の化学、生体内生成機構、代謝ネットワーク、病態との関係を統合的に解明し、レドックス医学の新しい研究領域を切り拓くことを目指しています。
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